🧬 血液型の基礎:遺伝と輸血
血液型の遺伝パターン
血液型の遺伝メカニズム
血液型はメンデルの遺伝法則に従って遺伝します。人間は両親から1つずつ遺伝子(対立遺伝子)を受け継ぎ、合計2つの遺伝子を持ちます。A型とB型の遺伝子は優性(顕性)で、O型の遺伝子は劣性(潜性)です。
A型の遺伝子型
AA - 両親からA遺伝子
AO - 片親からA、片親からO
どちらの組み合わせでもA型になります(Aが優性のため)
B型の遺伝子型
BB - 両親からB遺伝子
BO - 片親からB、片親からO
どちらの組み合わせでもB型になります(Bが優性のため)
O型の遺伝子型
OO - 両親からO遺伝子
O型遺伝子が2つ揃った時のみO型になります(劣性のため)
AB型の遺伝子型
AB - 片親からA、片親からB
AとBは共優性のため、両方の性質が現れます
🧮 血液型遺伝計算機
親の血液型を選択してください
👨 父親の血液型
👩 母親の血液型
血液型と輸血の互換性
💡 血液型の基礎知識
血液型とは、赤血球の表面にある「抗原」という目印の種類によって分類されます。人間の免疫システムは、自分が持っていない抗原を「異物」として認識し、攻撃してしまいます。これが、血液型によって輸血の可否が決まる理由です。
🔬 なぜ輸血に制限があるのか?
抗原(Antigen)
- A型: A抗原を持つ
- B型: B抗原を持つ
- AB型: A抗原とB抗原の両方を持つ
- O型: どちらの抗原も持たない
抗体(Antibody)
- A型: 抗B抗体を持つ(B抗原を攻撃)
- B型: 抗A抗体を持つ(A抗原を攻撃)
- AB型: 抗体を持たない
- O型: 抗A抗体と抗B抗体の両方を持つ
Rh因子(±)
- Rh+: Rh抗原を持つ(陽性)
- Rh-: Rh抗原を持たない(陰性)
- Rh-の人はRh+の血液を受けると抗体を作る
- 日本人の約99.5%がRh+
⚠️ 輸血の基本ルール
受血者が持っていない抗原を含む血液を輸血すると、受血者の抗体が反応して輸血された赤血球を破壊してしまいます。これを「溶血反応」といい、命に関わる重篤な反応を引き起こす可能性があります。
📊 輸血互換性マトリックス(完全版)
✓ 輸血可能
✗ 輸血不可
O-
O+
A-
A+
B-
B+
AB-
AB+
O-
✓
✗
✗
✗
✗
✗
✗
✗
O+
✓
✓
✗
✗
✗
✗
✗
✗
A-
✓
✗
✓
✗
✗
✗
✗
✗
A+
✓
✓
✓
✓
✗
✗
✗
✗
B-
✓
✗
✗
✗
✓
✗
✗
✗
B+
✓
✓
✗
✗
✓
✓
✗
✗
AB-
✓
✗
✓
✗
✓
✗
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✗
AB+
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✓
※ 縦軸:受血者の血液型 / 横軸:供血者の血液型
📈 重要な統計データ
37%
日本人のA型の割合
(最も多い血液型)
(最も多い血液型)
0.5%
日本人のRh-の割合
(非常に稀)
(非常に稀)
8種類
ABO式とRh式を
組み合わせた血液型
組み合わせた血液型
400+
実際に存在する
血液型抗原の種類
血液型抗原の種類
🏥 臨床での重要ポイント
緊急時の輸血: 患者の血液型が不明な緊急時には、O型Rh-(O-)の血液が使用されます。これは全ての血液型に輸血可能な「万能供血者」だからです。ただし、O-は非常に貴重なため、可能な限り早く患者の血液型を特定し、適合する血液型に切り替えます。